解答 ここが知りたい!もっと知りたいQ&A

古紙高配合の再生紙は、環境面から用途によって使い分けることが必要ではありませんか?

古紙100%に代表される古紙高配合の再生紙は、企業、自治体などから使用ニーズが強くあります。また、塵や不純物が混入することを避ける傾向があり、さらに市場では100%の特性と相反する高白色への要求があり、現実には本来の再生紙の特長とは逆行した品質要求となっていませんか。
そのような市場ニーズの中で果たして古紙高配合の再生紙は、環境にやさしいのでしょうか。
白色度の高い、塵の少ない再生紙を求めることは、古紙パルプの洗浄、防塵、漂白の過程で薬品、化石燃料等を必要以上に使用することになります。さらには、古紙を何回もリサイクルさせると繊維が短くなり、歩留まりが低下します。
古紙高配合製品は、最大の環境問題としての地球温暖化問題に対しては、化石燃料由来のCO2の排出量が多く、また環境面での負荷が大きく掛かるというマイナス面も指摘されております。
再生紙は、「古紙配合率が先にありき」という考え方を改め、用途に応じて古紙の配合率を考えることが賢い消費者になるといえます。

紙の原料としての木材は、天然林などを伐採して調達するのですか?

2005年のパルプ材需要量は、1,925万トンで、この内訳は国産材541万トン(約30%)、輸入材1,384万トン(約70%)です。これら紙の原料に用いられる木材チップの多くは国産材、輸入材とも製材時に出る残材や、それ以外のものも製材に不向きな低質材(細い木、曲がった木、芯の腐った木などもあり)製紙産業は木材の有効利用に努めています。また、熱帯地域からも木材チップを輸入していますが、そのほとんどが人工林からのものです。
パルプの原料となる木材の構成比(2005年)

我が国の紙の原料としての古紙の利用率、古紙の回収率は世界のトップレベルの水準といわれますが本当ですか?

わが国製紙産業は、2005年までに古紙利用率を60%へ高める目標を達成しました。 製紙産業としてもさらなる利用率の向上に、新たな目標を設定し、2010年度までに古紙利用率を62%まで高める運動を推進しております。

間伐材活用の意義と間伐材マークについて教えて下さい。

間伐をすると幹が太い元気な森林が育ちます。間伐をしないで放置しておくと森林は木が密集しすぎ、繁茂した木の葉によって日光がさえぎられるため下草が枯れ上がり、モヤシの様なヒョロヒョロした木になってしまいます。このような状態になると、土壌流失や山腹崩壊の危機が増大します。
間伐が適切に行われた森林は、林内に光が入り、下草も育って樹木が生き生きと生長するだけでなく、雨水が土壌へ浸透する量が多くなり水資源の涵養や国土の保全、ひいてはCO2をたっぷり吸収する豊な森が生まれます。
間伐材を原材料とした木材製品(紙)は、資源の有効利用として活用が期待されております。
全国森林組合連合会では、林野庁の指導のもと間伐材で作った製品を普及する目的で「間伐材マーク」の事業を推し進めています。
間伐材マークとは
間伐材マーク(かんばつざいマーク)とは、間伐や間伐材利用の重要性等をPRし、間伐材を用いた製品を表示する間伐材マークの適切な使用を通じて、間伐推進の普及啓発及び間伐材の利用促進と消費者の製品選択に資するものです。
間伐材マーク

マークの利用例 - 間伐材利用名刺
間伐材利用名刺間伐材マークに認定された商品には間伐材マークを使用することができ、製品・企業が森林整備・育成に対して貢献していることを、一般消費者に認知してもらうことができます。
資料:全国森林組合連合会 間伐材マーク事務局



バイオマス燃料とは化石燃料とどのように違うのでしょうか。

バイオ(bio)とは、生物や生命という意味の英語です。バイオマス燃料とは生物資源を原料にして作る燃料のことです。
サトウキビヤやトウモロコシなどから作るエタノールは、バイオマス燃料としてガソリンの代わりに自動車の燃料に使われたり、牛糞からメタンガスを取り出します。
石油や石炭は化石燃料と言われ、生物や、植物が長い間に地中で化石となって堆積したものです。
バイオマス燃料と化石燃料の違いは、以下の点にあります。
化石燃料、バイオマス燃料も燃やすとCO2を排出しますが、化石燃料を使用すると固定化されていたCO2をどんどん放出し地球温暖化の最大の原因となります。また、化石燃料は、近い将来枯渇するという危惧が迫っております。
しかしバイオマス燃料は、短期間に成長しますので、再生可能エネルギーともいわれます。

製紙産業でいわれる「森のリサイクル」について教えて下さい。

バイオマス燃料は、生物由来の有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出されます。パルプ製造過程で抽出される黒液(黒い植物性廃液)もバイオマス燃料です。
しかしこれに含まれる炭素は、植物、木材などの成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素を再び大気中に放出しているだけであり、全体として見れば、大気中の二酸化炭素を増加させていないと考えられます。これを「カーボンニュートラル」と呼びます。
さて、わが国製紙産業では、フレッシュパルプから紙を生産したら、それに相当の苗を伐採跡に植林するという過程を繰り返えします。
持続可能な森林経営により育成される森林だけを資源とする木材原料を調達することを「森のリサイクル」と最近呼ばれるようになりました。「紙のリサイクル」との両輪で資源循環型の社会を形成することが環境保全には重要です。
特にFSC®森林認証(FM認証)を取得している森林から生産された木材製品(紙製品)は、環境にやさしい優等生といえるでしょう。


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